海外ドラマが好き♪

海外ドラマの感想ブログです。たまに脱線します。

「坂の途中の家」 角田光代




角田光代さんは実際に起きた事件を基に何冊か書いていらっしゃる。「八日目の蝉」以降何冊か手にとってきたけど、どれも胸をふさぐような事件が基で、後味の悪さから、あまり手を出さないようにしていました。

ただ、この本はドラマ化されることもあり、興味を惹かれて読んでみたら思った以上にハマったので感想を。

内容を簡単に説明すると、裁判員に選ばれた女性が、幼児虐待殺人の被告に自らを重ね、共感していく心の動きを捉えたもの。被告人を第三者の目で追っていくうちに、これはまさに自分の物語であると錯覚するほどに強く共感していきます。
(ちなみに元ネタとなる事件は、この本に関しては、ネットでざっと探した限り見つからなかった)

細かい内容はネットでいくらでも見つけられるでしょうからそちらに譲るとして、私のアンテナが強く反応したのは、「被害妄想」というキーワード。

ここからは「私の」共感ストーリーですのでつまらないと思われたらさっさと閉じ、本を読むなり遊びに行くなりしてくださいませ。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

最近私の周りで被害妄想が流行っており、というか、流行っているわけはないので、私が今まで意識していなかったから目につかなかっただけで、割と日常に転がっているのだなぁと気付いた、という話なんですが。

結構深刻で日常生活に支障が出るレベルから、周囲の人は若干迷惑だけど笑い飛ばせるレベルまでいろいろ。

それでネットでググってみて、妄想にもいくつか種類があると初めて知りました。楽天的な妄想もあるんですね。先月職場を去った同僚がこれでした。みんなが私を引き留めようとしている、とか。その根拠を挙げてくれるんですけど、私には「それたまたまじゃん」としか思えない。15分ぐらい話が止まらないんです。まぁそのレベルなら明るいし、特に迷惑というほどではない。むしろ楽天的で良い性格だなと思いましたです。

日常生活に支障が出る深刻なレベルは、ちょっとここには書けませんが、被害妄想でググってみると、パターンのバリエーションが少ないことに驚きます。盗聴器を仕掛けられているとか、周り中が自分の悪口を言ってるとか。判で押したように同じパターンですね。

興味本位でググっているわけではなく、職場を去っていった方々のうち、女性に割と多いので、そういう精神状態になりやすい環境なのかなと思って、ちょっと警戒しているわけです。

私自身にはそういう兆候はないと(自分では)思っていますし、職場環境も気に入っていて、できるだけ長く勤めたいと思っていますが、2年目に辞めていく人が続出したので、いちおう気を付けたいと思います。

原因の第一は、派遣社員という身分の不安定さ。ちょっとした環境の変化や、社員さんのちょっとした発言を深読みしすぎる。第二は、一人で進める作業が多いこと。深読みして負のスパイラルにハマっていても、「考えすぎだね」と笑あえる仲間がいない。
この環境はどうしようもないです。

本を読んで強く感じたのは、陳腐な表現ですが「遊び心の大切さ」。
ここから本の内容に戻ります。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

ちょっと離れた立場の人だったら、例えば、母乳の出ない苦しさなんて、「え、そんなの出ないならミルクでいいじゃん」と思える。
しかし、真面目に育児に取り組もうとすればするほどに、自分を責め、簡単にそんな風に言ってくる人を「自慢?」とか、曲解してしまう。

主人公および被告人は、ありとあらゆるシーンで、それこそ四方八方から苦しめられるのですが、苦しめている側には一切悪気はありません。悪気がないどころか、育児に協力的な夫、いつでも手を貸してくれる義理母に囲まれ、恵まれている彼女たち。

しかし視点を変えれば、夫が協力してくれるのは、私をダメな母親だと暗に言いたいから、とか、義理母が協力してくれるのは、虐待していないか監視するため、とか、いくらでも被害妄想に変換が可能なんです。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

職場の話に戻ります。
環境を変えられない以上、自分で気を付けるしかありませんね。で、遊び心の話なんですが、「一生に一度」の「育児」に絶対に失敗は許されないとか、そういう考えがマズイ。7人ぐらい産んでその4人目ぐらいの気持ちで臨んでちょうどいいぐらいなのではないでしょうか…
まぁこれも私が傍観者だから言えることなのですが。

自分の職場に「7人ぐらい産んでその4人目」思想を当てはめてみると、「ここがダメでも次を紹介してもらえばいいや、それが派遣のメリットなんだし」と考えるとか、ですかね。
あとは趣味を充実させること。休日はちゃんと遊ぶこと。冗談をたくさん言うこと。

「遊び心」は、勝手に向こうから歩いてきてはくれません。自分で見つけに行かないと…とか真面目に考えること自体がNGかー。

趣味を充実されること、しかも、ほんとどうでもいい趣味であればあるほどいい気がします。