このドラマは文句なしで星7つで、ついこないだ「ウ・ヨンウが今年最高!」と言い切った舌の根も乾かぬうちにどっちが最高か迷う始末ですが、ウ・ヨンウとは対象的なドラマでもあります。
最初に白状しますが、第一話で一度リタイアしています。最初がつまらない。ある程度の情報をもって見始めた人は問題なく通過できるかもしれませんが、私はチョン・ギョンホがイクスンに告白するシーンをyoutubeのショートクリップで見たことがあるぐらいの前知識でスタートしたため、人物相関が全くわからない。そもそもですよ、誰が主役なのかもよくわからない。お笑い系に進むのかドロドロ系に展開していくのかも不明。
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これはネタバレですらない基礎知識なので書きますが、40代の中堅医師5人が主人公で、中でもチョ・ジョンソクが一番のメインです。
5人は大学の同期で、バンドを組んでいました。別々の病院で働いていましたが、ある大病院の理事長が亡くなり、そのお葬式で再会するところからドラマがスタートします。
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2つ目は長尺ドラマである点。1話が80分ほどあり、まぁさすがに16話仕立てではなく12話なのですが、最終話は2時間近くあります。シーズン1と2に分かれてはいるものの、シーズン1の最終話で区切りがつくわけでもなく、実質24話です。
長い割にテンポが良く、それはいいのですが、5人の多様な人生と、次から次へ登場する患者のエピソードを脳内で処理しきれずモヤモヤしました。
しかし、第一話でリタイアした過去の自分にアドバイスしてあげたい。絶対いいドラマだから今だけがんばれ。主役級5人の名前をさっさと覚えろ。それぞれの家族は、ウジュとイクスンだけは押さえろ。ドロドロ系に見せかけた出だしや予告編はただのカモフラージュだから安心しろ、と。
実際ですね、医療系としてはかなりマイルド。命を落とすのは通りすがり程度のキャラばかりで視聴者が思い入れた患者は助かるご都合主義。ま、いいんですよ、それで。息抜きで見てるドラマで悲しい気持ちになりたくもありませんからね。
ウ・ヨンウを大幅に上回る点は、ロマンスが5倍以上楽しめる点(当社比)。私はチョン・ギョンホ様だけを目当てに見ていましたが、そこが期待以上だったのはもちろん、他の恋愛エピソードも全部、それぞれが1本のドラマにできるぐらいの力作。
ここで、韓国ドラマあるあるの3要素を用いてウ・ヨンウと医師生活のジュンワン&イクスンカップルを比較してみます。
1.告白シーン
2.好きなのに(何らかの事情で)別れを告げる
3.ヨリを戻す
まず1ですが、これは断然医師生活の勝利。映画さながらの美しいシーンでございました。ウ・ヨンウの方は、初期からヨンウのジュノに対するラブがダダ洩れなのがマイナス。
2はヨンウの勝利。ヨンウがジュノに別れを告げる理由はめっちゃmake senseでしたがイクスンがジュンワンに別れを告げる理由はわかりにくかった。ヨンウの方は、さらなる高度テクで笑いをのせてきて(わけがわからないジュノがちぐはぐな理由をひねり出すのが、悲しいシーンなのについ笑ってしまう)、さらには自閉症スペクトラム障害のヨンウがヨンウらしさ全開で物語を前に進める原動力をも生み出している、神がかったシーンでした。
3は医師生活の勝利。気まずくなってしまったジュンワンとイクスンでしたが、イクジュン・イクスン兄妹の合同公演のクオリティの高さに、「なんかもうどうでもいいや」ってなっていくジュンワンの表情がいい。喧嘩した後にわざわざ仲直りが必要なカップルって割とめんどくさいですよね。この「なんかもうどうでもいいや」みたいなのって結構大事だよなと個人的に思います。
イクスンが別れを切り出した理由ですけど、どうも納得いかなかったのでシーズン1の最初の方からじっくり見直して、私なりの答えを出しました。
そういえば最初の方のジュンワンはクールな都会派でしたよね(大半が三枚目だから忘れてたけど)。恋愛は3ヶ月以上続かないし、綺麗系のお姉さんとお付き合いして、ちょっと気に入らない点があればポイって感じのシーンもそういえばあった。
そこを思い出せば、イクスンが「自分が傷つきたくなくて」逆説的にジュンワンをふってしまったのは、まぁわかる気もしました。
ソッキョン・ミナカップルのこととか、まだまだ語りだしたらキリがないので簡潔に触れますが、女性キャラの中ではミナに一番共感しました。自分からガツガツ責めるタイプの女子は好きじゃないんだけど、ブリジット・ジョーンズを彷彿とさせる愛すべきキャラ。また、「なんで私は失敗からしか学べないんでしょう」と落ち込むシーンは自分のことかと思いました。
韓国ドラマでは他人に自分のクレジットカードをいとも簡単に貸すし、そのシーンには慣れてるつもりだったけど、このドラマは電子マネーと社員証とセキュリティドア開閉が一つの機能にまとまったIDを他人に簡単に貸す。そこはさすがの私も「えー」でした。