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海外ドラマの感想ブログです。たまに脱線します。

【孤独のグルメ】Season1~Season10 + スペシャル

スペシャル回含め、全てのエピソードを完走いたしましたので、思うところをアップしたいと思います。

 

まずこのシリーズ、ご存知の方も多いとは思いますが、ストーリー部分と食レポ部分の二部構成。それが約120話でしょうか、ただひたすらワンパターンに繰り返されます。ドラマと呼んでいいかわからないほど「ドラマ性」はありません。

 

視聴者はおそらく「食レポ」部分メインでご覧になっているのでは。「おっさんがただメシ食ってるだけ(松重さんご本人談)」の映像と、感想(モノローグ)を、特にアタマを使うことなく見られるのがいいです。なにしろオリジナルの放送時間は夜中ですからね。夜中に空腹が刺激される不都合はあるものの(※注1)、1日のクールダウンに良いと思います。私は何でも1.25倍速で観るのが常ですが、孤独のグルメだけは標準で見ています。松重さんのゆったりしたモノローグワールドで繰り広げられる超・どうしょもないギャグが、日常のあれこれを「どーでもいいや」みたいな気分に変えてくれるからです。

※注1:私は録画や配信で、夕飯の直後に観るようにしていました(←めちゃくちゃ重要!)

 

…とまぁ、孤独のグルメにハマった導入はそんな感じでしたが、次第に私は「ストーリー」のパートにのめり込んでいくことになります。

 

ストーリーとはいえ、内容はワンパターンで120話見たところで新たな情報が追加されることはほぼありませんが、それでもたまに垣間見える「井之頭五郎」のキャラクターが…非常に興味深い。

 

個人で輸入雑貨業をしており、シーズン1で五郎を演じる松重豊さんはアラフィフ、シーズン10ではアラ還かと思います。原作の漫画はたぶん10歳ほど若いような感じがします。

結婚歴は(おそらく)なく、若い頃の恋愛エピソードがドラマでは1つ、漫画で2つ紹介されるのみです。

 

「結婚に向かない」発言は、私の記憶にある限り2回。例えば近くの席でカップルが心理テストをやってて、勝手に耳だけ参加した五郎が一番結婚向きの回答をチョイス、ケッ、だから占いなんてあてにならない、俺が結婚向きだなんて、みたいなコメント(モノローグ)が発せられ、あ、この人、結婚していないんだな、という五郎像パズルのピースが手に入るわけです。そういう、パズルピース集めがおもしろくてSeason10まで飽きずに見てしまった…そういう見方をしている私は変わり者かもしれませんけど。

 

五郎は、結婚したいのに結婚できないわけではありません。仕事は割と順調なようです。時計はタグホイヤークロノグラフ、パソコンはレッツノート(途中まで。提供が終わったのか、後半は変わった。GRSNというロゴ付…もしやゴローサンの頭文字?Pentahexaというロゴも…ここまできたら間違いない。5と6だ。)、

 

ゴローのパソコン

 

靴はリーガル、そして車はBMWです(Season10からミニクーパー、ナンバーは563)。

 

ミニ563

知識レベルもかなり高く、馬マニアの大学教授が「あなたにはわからないだろうけど、古代では馬に込められた意味は…」と言いかけたところでウッカリ深い教養で返答してしまい、やばい、顧客をやりこめちゃマズイと気づいてスタコラ退散するシーン、ハムレットのセリフを引用した顧客にウッカリ「それはマクベスでは」と口を滑らせるシーンからうかがえる。

町田市は昔神奈川県だったって知ってます?というトリビアにも「ええ」と答即している。

将棋は上手いのか下手なのか…私にはよくわからない。誰か解説ブログ書いてほしい。

 

語学レベルは上の下といったあたりと思われ、パンフレットを自力で英訳することができる。中国語や韓国語はさっぱりだが、若い頃の海外経験から、そういった国でも何とかコミュニケーションを取ることができる。

 

見た目がオッサンだから綺麗系の女性は五郎のことを簡単に落とせると勘違いしてしまうかもしれません。思わせぶりなアプローチをする女性も実際いました(中山エミリ、手塚里美、りょう、鶴田真由)。五郎は礼儀正しいので顔には(ちょっとしか)出しませんけど、そういうアプローチを察するやいなや、五郎はさっさと逃げ出します。つまり結婚願望が本当にないんです。

 

結婚願望があるのに何らかの事情で結婚できていない男性なら、カップルに嫉妬したりすると思います。五郎は、-さすがにイチャついてるカップルを見ると軽くイジワルなモノローグがあったりしますが(食事が来るまでにわさびを用意する、そのぐらいちょっと考えればわかりそうな手際だろうが)-良い夫婦を見ると純粋に「あぁ、いいご夫婦だったなぁ」みたいなことを言います(両国の床屋夫妻など)。そこに妬みの感情はありません。

 

お見合い話も私の記憶が正しければ2回。仕事相手に無理やり写真を見せられるパターンで、そうなると五郎はその仕事自体を断りたくなってしまいます。

 

そんな五郎ですが、「家庭料理」と書かれた暖簾や看板に引き寄せられる一面がある。普通の家であれこれ手料理をビュッフェ形式で出すお店の奥さまにはさすがにグラっときた(石野陽子)。外食に家庭料理を求めるぐらいなら結婚すりゃいいのに。だって、五郎がいわゆる家庭料理、すなわち大盛りごはんやコロッケやみそ汁やかぼちゃの煮物、に支払う食費は結構な額なんです。なにせ大食いで2~3人前を平らげますから。

 

まぁ所詮は架空のキャラクターですから、ここでうんぬん言ってもウルトラマンケンシロウはどっちが強いか、みたいな意味のない考察でしかありませんけど、私には五郎の不思議な結婚観がとても興味深かった…再度言いますけど、このドラマをこの観点から見ている人はあまりいないと思います。

 

ちなみに五郎がLGBTQである可能性を一応検討しますが、ほぼゼロかと思います。田中要次さん演じる昔の知り合いが「女子」になったと知ったシーンでの五郎はマジでびっくり仰天して、少し落ち着いてから「あいつはあいつの道を行けばいい」みたいなことを言ってました。骨折中のともさかりえをついつい手伝ってしまい、「俺も結局美人に弱いんだな」と言う回や、昔の憧れの女子への回想シーンもありました(今では校長先生になっていた…松下由樹が演じている)。

 

架空のキャラクターを考察しても意味がない…とはいえ、五郎の結婚観の考察には1つの意味があると私は思っています。

 

端的に言えば、

 こういう男には気を付けろ

です。

 

注目すべきはSeason1に出てくる小雪(さゆき)さんのエピソードです。彼女とはパリで知り合い、お付き合いしていました。小雪は五郎との結婚を望んで問いただしをするものの、五郎にはさっぱり結婚願望がないとわかり(そんな話より甘い物でも食いに行こう…ハイ、アウト~!)お別れとなりました。

もし彼女が五郎に今後のことをしっかりと問いただしせず、ずるずると付き合い続けていたら、彼女は何年も、下手すると十年以上もの年月を無駄にしてしまったことでしょう。五郎は穏やかな性格で、家庭的なものを求めている。遊び人風な外見や行動は全くなく、(食道楽ではあるけれど)アルコールやギャンブルは一切やらない。この人なら結婚してくれそうと勘違いしちゃいけない。理由はわからないけど、五郎に結婚願望は一切ないのですから。

 

Season1と言えばですけど、Season10まで続いている孤独のグルメ、Season1を改めて見直すと面白い発見があります。

10年間繰り返されるワンパターンの全てが、Season1でしっかり確立されているのです。低予算でのスタート当初、Season1が10年の礎だなんて、視聴者も、スタッフさえも、誰も思ってもいなかったでしょうに。

もちろん徐々に固まっていった五郎のキャラクターは、時間が進むにつれ、最初よりも三枚目に振れていき、より気軽で面白くなっています。しかしベースとなるものは全てSeason1に入っているのです。

空腹時に「ポン・ポン・ポン」と音がなりカメラが引いていく撮影法。口を半開きにするのがお約束なので、コロナ禍のシーズン9・10では律儀にマスクを下にずらしてまで口元を見せてくれるのが可笑しい。

お人よし五郎。おばあさんが転がしたみかんを拾ってあげる。後に、スーツケースを運んであげて見知らぬバス停で降りてしまったり、果てはどえらい距離を車で走ることになるロードムービーのようなスペシャル回につながる。

神社を素通りできない五郎。お願いごとは、自営業らしく商売繁盛…かと思いきや、どうやら「美味しいものに出会えますように」みたいなしょうもない願掛けをしている模様。

そして、苦手なタイプの女性に関しては第一話の冒頭に入っているんですよ!顔には出さないまでもモノローグでは「まさに今が辛い」とちゃんと言ってる。

 

あと、これは今後パターン化されるかどうかわからないけど、20年とかの長い年月の昔の回想シーンの取り扱い。…ただ白黒にするだけ。

代役を立てることはおろか、松重さんの髪形を多少若作りにいじることすらしない。そのまんま。小雪さんとのシーンや、吉野(田中要次)とのシーンもそう。20年ぶりに会う先輩には、冒頭で「五郎、お前ちっとも変わらないなぁ」と言わせて、回想シーンはまんまの松重さんだった。「ちっとも変わらない」のセリフが活きてて笑えた。面白いのでぜひパターン化してほしいです。

 

長くなるので続きは次回。