「怪しいパートナー」ではナム・ジヒョンが可愛くないだの結構ヒドいことを書きましたが、申し訳ございません。ジヒョンちゃん可愛いし、彼女の出るドラマは外れがないことを素直に認めます。
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とある朝鮮王朝の世子は文武両道に加え、顔もハンサム。超絶美人の世子嬪がいるが、実は不仲。
ある日、雨乞いに出かけた世子は命を狙われ、一命を取りとめるが記憶喪失に。村人に助けられ、ただの村人として暮らすことになる。フツーの村娘と結婚もする。
この村娘、フツーの、と書いたけど、頭が良くて機転が利く。困難は明るく乗り越え、骨惜しみせずに働く。最初は庶民の生活に全く慣れない世子だったが、100日が過ぎる頃には夫婦の情愛が育まれ、村にも溶け込んでいく。そんな時、「あなたは世子だ。宮殿に戻ってください」という人が現れ…
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という感じの出だし。物語の要素としては、「王子と乞食」「水戸黄門」「記憶喪失」そして「契約結婚」を全ていい感じに盛り込んだといったところで、面白くないわけがない。
世子役のド・ギョンス(EXOのメイン・ボーカルだそうで…ほんと韓国のエンタメ界は多才)は、普通の村の男ができること(水を運ぶとか薪割りとか)が何もできなくて役立たずのくせに多額の借金して買い物しちゃったりする。このへんは「ショッピング王 ルイ」とそっくり。そのくせ態度がデカイので序盤はほんとイライラした(でも後々「効いて」くるのでどうか視聴をやめないでいただきたい)。
しかし、温かい村人に囲まれ、庶民の食べ物にも少しずつ馴染み、(この辺はちょっと「愛の不時着」を彷彿とさせる)、やがて彼なりの特技で役立たずの汚名を返上していく。私はほんとこういう類が好きなんだよなー。「自分なりの特技で」ってところがです。
さて、私は契約結婚モノには結構うるさくて、好きでもない者同士が仕方なく結婚するからには強烈な、もうそれしか手段がないという「理由」が必要と考えていて、そこにちょっとでも不足があると見る目が厳しくなる。
このドラマの「結婚のいきさつ」は超・一級。パチパチパチパチ。
長らく続く日照りは、婚期を逃した男女たちのせい、というめちゃくちゃな理由で、とにかくそれらの者どもを残らず結婚させろという、世子自身が出した命令によって自分が結婚するハメになる。(自分が出した命令に自分がひっかかる、というのはハリウッド映画の「最高の人生の見つけ方」を思い出す)。
ここで興味深いのは婚期を逃した男女の呼び方。日本でもかつてはオールド・ミスとかいう失礼な言い方があって、今では人権の面からも男女差別の面からもそんなこと言う人は皆無だけど、時代を戻し、そして舞台を朝鮮王朝に移してみると、まぁ有り得ない呼び方がされているんですよ。なんと女子は恨みを持った女性という意味の「怨女」、男子は空虚な男という意味の「曠夫」と呼ばれているんですよ。しかも対象は20歳以上ですってー。はー。
私は婚活で結構苦労した口なので、もう何が何でも男女を結婚させちまえー、という社会は、実はちょっと羨ましかったりする。そりゃもちろん変な男をつかまされて苦労する確率もあるけど、労せずして当たりを掴む可能性だってあるわけじゃないですか。
一面の麦畑のシーンが美しい。文句なしに☆6つ。