こ、これは面白い!
タイトルから、死期の迫った主人公が残される家族のため、新たな家族を探してから世を去る物語かと思っていたんです。涙腺崩壊系の。いやいや全然違いますよ。これは高度な復讐ゲームの物語です。
ヒロインは末期ガンで、死の間際に夫と親友の裏切りを知ります。そしてそのまま残念ながら命尽きてしまいます。気づいたら10年前にタイムスリップ。復讐劇が始まります(と言ってもドロドロのホラーではありません)。
タイムスリップものですが、2つのお約束ゴトがあります。
・起きることは止められない。
・でも、誰か別の人に肩代わりさせることはできる。(というか、誰かに肩代わりさせない限り、起こり続ける)
このルールを視聴者に理解させるべく、最初の1~2話はとってもテンポよく進行していきます。最初の3話がつまらないのが韓国ドラマですが、これは冒頭からフルスピード。特に最初の16分30秒(細かい)はショートムービーとして成り立つクオリティ。村上春樹の1Q84を彷彿とさせる世界観です。1984年と、そっくりだけど月が2つある1Q84の世界をタクシー運転手が先導していくところとかがまさに。
やられっぱなしだったヒロイン、ジウォンの2度目の2013年は、中身を知っているんだから有利に進みそうなものですが、なかなか一筋縄ではいかない高度なゲームとなります。ちなみに2013年は結婚直前の年です。のちに夫はクズ野郎だと判明するんだから結婚しなけりゃいいだけの話…いやいや、誰かに押し付けない限り、起きることは止められないんですよ。ババ抜きみたいなもんです。誰に押し付けるかってそりゃ、裏切った(いや、これから裏切る予定の)親友が適任でしょう。ところがこれが簡単じゃない。
ジウォンは地味で、一方の親友スミンはお色気むんむんなのですが、そもそもクズ夫・ミンファンはジウォンが地味で、搾取しやすい相手だったから結婚相手に選んだわけです。2度目の人生でジウォンはどんどん魅力的になり、別の男性からもアプローチされるほどになりますから、なおさら別れてもらうのが難しくなります。
またスミンは人の物が欲しいというタイプの女子であるがゆえに、ジウォンが大切にしている物ほど奪いたくなります。すなわち、ジウォンは(本性を知って近寄るのも嫌な相手なのに)ミンファンとラブラブであるように見せかけないとスミンが奪っていってくれないわけです。タイトル通り、「私の夫と結婚して」もらうための知能ゲームが繰り広げられることになります。
実はまだ9話の途中なのですが、あまりに面白いので感想を書きました。評判によるとここから若干中だるみするらしいのですが、また見終わったら感想かきます。
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全話見終わりました。
う~ん…
14話ぐらいから相当変なドラマになりまして、マッチャンドラマっていうのかな、ドロドロ系。よく「悪い人がいない」ドラマってありますけど、「悪い人しかいない」ドラマに豹変したと思うのは私だけ?
途中からガラリと雰囲気が変わる映画と言えば「半地下の家族」とかですけど、雰囲気どころかジャンルが変わってしまったかのような展開でございました…
まぁ最終話が後味よく終わったので星は減らしませんが、15話ぐらいは本気で星を減らすつもりでしたよ。
良くも悪くもナ・イヌさんカッコイイっていう、その一点のみ記憶に残るドラマとなりそうです。この方、「王女ピョンガン」の主役が急に降板になり、抜擢されて話題になった方だそうです。そんなハプニングがなくてもこのビジュアルと演技なら遅かれ早かれビッグネームは確実だったでしょうが、過去の作品を調べたら、2つほど視聴済の作品があり、いずれも変な脇役でした(「愛するウンドン」と「シンデレラと4人の騎士」)。
この「私の夫と結婚して」は本当に本当にカッコイイです。
脚本家さんはシン・ユダムさんという方です。途中で脚本家さんが変わったのかとさえ思いました。過去の作品で見たことがあるのは「ステキな片想い」。チョン・イルとチン・セヨンの軽快な短編で、大好きな作品です。今後に期待。