前回の「無垢なる証人(2019年)」に続き、チョン・ウソンさん主演の映画。2014年。
同じ弁護士役ですが、記憶喪失モノ。
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ボーっとした感じの男性が警察署を訪れ、失踪人届を出したいと言う。失踪人との関係は?と問われ、本人です、と答えるシーンから始まります。
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記憶喪失モノですから、徐々に過去がわかって、そこに驚きや感動があって、みたいな展開を想像しながら観るじゃないですか。いや~、韓国映画、そんな浅いはずはなかったです。衝撃のラスト!とか言っちゃってもいいのかな。
ヒントは確かにあったんですよ。でもハリウッド映画やフランス映画を見慣れている人には伏線とも何とも思わないはず。キム・ハヌルさんは押しも押されぬ大物人気女優ですから、彼女にこんな押しかけ女房みたいな役をやらせるかなぁ、という違和感を感じたのが1点。
2点目は、旧友や、認知症がかった母親が、「ボヨン…と言ったっけ?彼女は元気?」みたいなことを言うから、過去に主人公が周囲に紹介するほど本気で恋した相手がいるようだ、こんなメンタルやばそうな女と急速に深い関係になっちゃって、もー、さっさとボヨンを探せ、みたいな違和感。この2つぐらいなかぁ。これも欧米映画なら、女性と急速に深い関係になる点に違和感は覚えないでしょうね。
たった1時間46分の映画の3分の2を過ぎても伏線が回収される気配がなく、このままわけわかんないまま終了する駄作かと思いましたよ。ご心配なく。伏線はちゃんと回収されます。
欲を言うなら、記憶を失う前の主人公は冷徹な弁護士だったらしいのに、事故後は柔和で人の感情に配慮するような(まともな)弁護士になった対比をもうちょっと楽しみたかったような。まぁでも1時間46分ですからね。
監督は「私の頭の中の消しゴム」のイ・ユンジョンさん。「~消しゴム」ではソン・イェジンに押しかけ女房みたいな役を演じさせてるのよね。でも、だからこそ、今まで言う機会がなかった一言をなんとか伝えたいという主人公の思いに筋が通っており、韓国ドラマとはやはり、男性が女性を追いかける図式が正統派であり、そこから外れるシナリオには、外れるなりの意味がある、ということでしょうか。
ほんっと良くできた映画で、☆5つあげたいけど、見終わったあと、ハッピーな気持ちにはなりにくいから1つ減らして4つです。