海外ドラマが好き♪

海外ドラマの感想ブログです。たまに脱線します。

2度目の二十歳 -まだ語るか-


誰にも頼らず生きていきたいというノラ。説得に失敗したヒョンソクは、3ヶ月と10日におよぶ連絡中断をしたのち、舞台を移して「いかに18歳のノラが自分に影響を与えたか」を演出。ノラに「ヒョンソクが好き」と言わせることに見事成功しました。
さて、今後の2人はどうなるのでしょうか。



18歳で妊娠→高校を中退したノラ。働いた経験もなく、夫に「お前はダメだ」というハラスメントをされ続けて20年。そんなノラの課題は「自立」。

お祖母ちゃんが残したレシピを受け継いだトッポギ店で店長をやることになりましたが、ちょっと待って!それってヒョンソクがコッソリ権利を買い取って守った店では?残念ながら、人生のスポンサーが元夫ウチョルからヒョンソクに変わっただけじゃない??
趣味で描いたイラストをサイトにアップして、すぐにコメントが付いたと喜ぶ様子は今後のノラの将来を占うかのようなシーンではありますが、現実的に考えれば、何の経験もない38歳のアジュンマが食べていけるほどイラストの世界は甘くないよねぇ???


ちなみに画風はこんな感じ。

誰かの庇護を受けて生きることを非難するつもりはありません。問題は、ノラ自身がそれを良しとしないだろうということ。早朝にヒョンソクの家に押しかけ、「お礼しか言えないのは辛い。もうやめて。解放して」とまで言ったノラなのですから。

ちなみにこのシーンは、ノラの負担にならないようコッソリ蔭でヒョンソクがノラにしたあれこれのうち、決定的な出来事がノラに知れた時のシーンです。

(病気と勘違いした)ヒョンソクがノラに教授用ロッカーを貸したりコッソリお粥を用意したりしているぐらいはまだ可愛いもので、実はヒョンソクの行為(好意)はノラのプライベートエリアにガッツリ入り込んでいました。祖母がなくなった際に店の権利を買い取って味を守ったことは前述しましたが、バイト先に裏から手を回したり、元夫ウチョルがスキャンダルで社会から抹殺される前日、奔走して救ったのがヒョンソクでした。恋敵であるウチョルまで助けたのは、ウチョルが窮地に陥れば息子のミンスが苦しむ、ミンスが苦しめばノラが苦しむ、それを見たくないから、という理由でした。
それに対するノラの反応は、「コマウォ(ありがとう)しか言えないのは辛い、もうやめて」。

さて、ヒョンソクはなぜそこまでノラに肩入れしたのでしょうか。
ヒントは20年前の彼らの「恋愛市場格差」にあります。

18歳だったノラはキラキラ輝いており、校内の有名人でした。一方のヒョンソクは変わり者で誰からも相手にされず、暗い少年期を過ごしていました。



そんなヒョンソクの才能を見出し、「あなたは韓国で最高の演出家になる」と手放しで断言したのがノラでした。ノラは自身の発言を覚えてすらいませんが、この一言はヒョンソクのその後の人生を決定づけるものとなりました。

18歳当時の彼らの市場価値を、分かりやすく、ノラが100、ヒョンソクが0とします。
20年が経ち、夫からハラスメントを受け続けて自己評価が地に落ちたノラ、演出家として売れっ子となったヒョンソク。彼らの市場価値は、ノラが0、ヒョンソクが100に逆転しました。



38歳のノラは「お礼を言うことしかできなくて負担」と感じていますが、ヒョンソクにとっては、市場価値0だった18歳の自分にノラが与えてくれた「言葉」の価値は計り知れず、今のノラを愛して尽くす正当な理由がここにあります。

冒頭の問いに戻りますが、今後の2人はどうなるのでしょうか。

38歳のノラは、過去の恋愛市場格差を利用した「徳貯金」によってヒョンソクとの関係が釣り合っています。
ヒョンソクは、「初恋の相手だから君のそばにいるわけじゃない。20年たった今の君が好きなんだ。好きになった。理由?ない。怒ってイジワルをしたり君に同情したこともあった。だけど変わっていく君を見て好きになったんだ。」と熱くノラに語ります。
言葉通り、38歳のアジュンマとなったノラを今後も愛し続けるかもしれませんが、そこにあぐらをかいていていいわけはありません。ノラ自身がそれを良しとしないはずだからです。

とはいえ社会人経験がなく、手に職もないノラは一体どうすれば良いのでしょう。問題を解く鍵は、ヒョンソクが出演したラジオで述べた「カルペ・ディエム(今を楽しむ)」という発言にあるように思います。

ラジオでヒョンソクは、バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)について語ります。死を意識することで、よき生を生きる原動力になるのだと。

私には、ソ・ヒョンギョンの素晴らしい脚本の続きを想像する力がありません。しかし、金銭的プラマイゼロの関係だけが対等な関係とはあまりに寂しい世界です。
ノラには自由に今を楽しんで生きてほしい、それがソ・ヒョンギョンからノラへの、そして大勢のノラ的アジュンマへの大事なメッセージではないかと思うのです。

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私がこのドラマで感心してしまったシーンは、ヒョンソクと相思相愛になった後のノラです。ヒョンソクを大切にしながらもベッタリ寄りかかり過ぎず、自分の人生を1番にしています。
急に訪ねてきたヒョンソクを放ったらかして出かけてしまったり、近所の弁護士にモテてしまったり。親友のユニョンに「そんなんで大丈夫なの!?」と言われるほどですが、トッポギの具を多めにしたり台本読みに付き合ったりするところはとても可愛らしい。

夫が宇宙の全てであり、ただ尽くして挙句ウザがられていたノラとは全然違うのです。