海外ドラマが好き♪

海外ドラマの感想ブログです。たまに脱線します。

【映画】あの人に逢えるまで ☆☆☆☆

30分ほどのショート映画。通常、☆の数は基本を5としていて、全話見たドラマは5をベースに増減するのだけど、さすがに30分の映画と20話のドラマはぜんぜん重みが違うので、今回は基本を3とし、+1の☆4評価としました。

 

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30分ですからネタバレせずにあらすじを書くのは不可能。あらすじ読むぐらいなら映画を見てくださいませ。 

見終わった感想としては、たった30分なのに涙する。すごいな。
純愛を描いた映画と言えるんだけど、愛するべき人を愛さなかった映画、とも言える。
 

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この映画を観て、ある女性のことを思い出した。名前は、仮に民代さんとする。

民代さんは戦後、家族とともに北朝鮮から引き揚げた日本人である。なぜ北朝鮮にいたか。そう、そこは、戦前は日本だったから。

家族とともに、と書いたが、夫はとは死別していて、小さい男の子と、彼女の両親・兄弟姉妹とともに命からがら日本にたどり着いた。夫は住職だった。まぁちょっとしたインテリ階級である。子供は父親の真似をしてお経を口にした。可愛い盛りだっただろう。

なんとか日本にたどり着いたものの、両親や兄弟に説得され、子供は手放すことになった。女ひとり、どうやって育てていくのかと諭された。これから親戚の家に身を寄せ、ただでさえ肩身の狭い思いをするのだ。仕方なく遠く離れた土地に養子にやった。

民代さんは後妻に入った。男の子が3人いた。反抗期には苦労したのかもしれないが、息子たちは民代さんを大切にしてくれた。晩年は長男と一緒に暮らした。長男は工場をやっていて、従業員にも「民代さん、民代さん」と慕われ、にぎやかな暮らしだったようだ。

民代さんは長生きした。両親や、お金儲けの上手だった一番上の弟が先に亡くなった。多くはないがちょっとした遺産が入り、それは二番目の弟に管理してもらうことにした。弟の嫁がしっかり者で、預けるなら彼女しかいないと思った。案の定、半年ごとに明細を知らせてくれた(利息が7%なんて時代もあったのだ)。

80歳を過ぎ、弟の嫁に会う機会ももしかしたら最後かもと思った時に決めた。実は、可愛い盛りに手放した息子とは連絡を取っていた。何もしてやれなかった実子にお金を渡してやりたい気持ちもあったが、ずっと一緒に暮らした義理の息子に渡してくれと、弟の嫁に伝えた。嫁は念を押した。義理の息子の方でいいんですね、と。

 

人は、不本意ながら、「最初の家庭」が壊れ、「二番目の家庭」を築くこともある。戦争が絡めばなおさらだ。民代さんは一番目を大切に思いながらも二番目も大切にした女性である。これでは映画にならないだろうが。