海外ドラマが好き♪

海外ドラマの感想ブログです。たまに脱線します。

また!?オ・ヘヨン ~僕が愛した未来(ジカン)~ ★★★★★☆☆

 

ヒロインを演じたソ・ヒョンジンとベテラン女優キム・ミギョンの上手さで引っ張られた感があるけど、中身はどうにも高校生のアホカップルの恋愛みたいな感じで、途中でやめるほどひどくもないけどなぁ…というのが中盤までの感想。これで主役の俳優さんがめっちゃタイプだったら別なんだけどエリックって誰?

 

ところがですよ。

 

たった1つ、すごくいいシーンがあってそれでガツーンとやられました。

ネタバレはしたくないけど、唯一のシーンを詳細に描いても大勢に影響はないかな?

 

別れを決めたカップルがお互いに体調を崩して病院で再会。そこでエリックが、

「よかったよ。ほーんと、よかったよ。めちゃくちゃ具合悪くなったのが俺だけじゃないとわかってさ」

みたいなセリフを吐き捨てるんですよ。

そのセリフを言う前の枕詞が、「ミヤネヨ、チョンマルミヤナンデー」なんだけど、その言い方が全然悪いと思ってないけど謝っとく、みたいな言い方の上手さは、まぁ実際視聴してみないとわからないでしょうが、すごくツボにハマって何度も見返してしまいましたよ。

 

エリックさん、本業はアイドルメンバーだそうじゃないですか。ピンポイントながらもこの演技は神がかってたぞ?

 

超ざっくりストーリーを説明すると、出来の良い同姓同名のオ・ヘヨンという同級生とずっと比較され続けてひねくれてしまった主人公、オ・ヘヨン。結婚式前日に破談にされてしまいます。

また、出来のいい方のオ・ヘヨンも結婚式当日にドタキャン騒ぎを起こしており、その相手がエリック。

そんないわく付きの二人が出会って、名前のややこしさからいろいろこじれて、というのが1つのストーリー。

 

それに絡んでくる別のストーリーは、エリックが時々見る断片的な幻想。どうやら近い将来事故に遭うらしく、いまわの際の強烈な後悔が、断片的な未来のシーンを、現在の(クールに生きている)エリックに送りつけてるらしい。

 

クールというか、結婚式をドタキャンされて以来、感情を押し殺してなんとか時間をやり過ごして生きるしかなかったんですよね。しかしいまわの際に強烈に後悔するのなら、感情に従ってみようというのが、例のシーンなわけです(本来は「元気でな」とだけ言って立ち去るはずだった)。

 

にほんブログ村 テレビブログ 韓国ドラマへ
にほんブログ村

 

韓国ドラマにはいろんな職業の主人公が登場します。弁護士やら医者やらは定番中の定番ですが、エリックは(私の記憶の限り主役の職業として扱われたことはなかった)映画の音響さんです。

なかなか面白そうなお仕事だなぁと思いました。

 

一方のヒロインは会社員なんだけど、その会社が何やってんのかイマイチわからなかった。飲食店の企画?こんなに人材必要?ま、いずれにせよ韓国ドラマの主役たちはちっとも仕事中に仕事しないのが定番ですから何だっていいっちゃあいいんですけどね。

恋のトリセツ ~フンナムとジョンウムの恋愛日誌~ ★★★★★☆☆

ブコメの女王、ファン・ジョンウムと、視聴率男、ナム・グンミンが共演した2018年のドラマ。

 

正直まぁまぁかなぁ…もちろんつまらないってことはなくて、最後までしっかり楽しめたんですけど、二人のケミがワタシ的には別段ハマらなかった。ファン・ジョンウムはパク・ソジュンと共演した「彼女はキレイだった」や、チソンとの「キルミー・ヒールミー」が私の中で根付きすぎて、それ以外の共演者を脳が受け付けてくれないみたい。

 

一方のナムグン・ミン様ですけど、彼のドラマの中では一番好感が持てた。すごく人気の男優さんだと知ってたけど、今まで観たものはぜんぜん好きになれなれず。

 

で、内容ですけど。

 

ナムグン・ミン様は子供の頃からおもちゃが大好きで、おもちゃ博物館を経営(ほぼこちらは趣味)する傍ら、イベントを企画したり。おそらく収入は売り買いによる利益なのかなぁ。両親ともに裕福でお金にはまったく困っていないけど、自身も商才があるような感じのキャラクター。

このおもちゃ博物館が素敵で、でも残念ながらほとんどが著作権がらみのボカシがかかってたのがとっても残念でした。

さらに友人の頼みで、某人気コラムのゴーストライターをしてる。

 

ファン・ジョンウムの仕事は、結婚相談所のコーディネーター。しかし彼女は入社以来成績が悪く、解雇一歩手前。難しい案件を押し付けられ、これを解決できなきゃ会社に居られると思うなよとプレッシャーをかけられ崖っぷち。

 

その案件っていうのが、

・40代になってしまった超ワガママお金持ち令嬢

・失顔症のショコラティエ

・スタントマン(腋毛を剃ると大怪我をするというジンクスに捕われているせいで、何ともワイルドな見た目)

・超絶多忙なビジネスマン

 

これらの人物を何とかして成婚させなければならない。ひょんなことから知り合ったナムグン・ミン様は、実は大人気の恋愛指南コラムのライターで、恋愛の神とも呼ばれる存在だった。彼女の持っているお宝フィギュア、オズの魔法使いのブリキ人形、を餌に、協力を取り付ける、というお話。

 

これらの「ご成婚ストーリー」が十分面白いのだから、そこをしっかり軸にしてくれればもっとスッキリした展開になったと思うのだけれど、枝葉の部分が多すぎて楽しみそびれてしまったというのが私の感想。

 

もっともですね、毎回なんだか区切りが妙だったから、私が見たのは日本版にカットされたバージョンだと思う。ストーリーを壊さず、感情を揺さぶる大切なシーンを損なわず、上手に選んでカットするのって至難の業なんだろなー。

 

韓国ドラマの王道である、「幼い頃のエピソードとそのトラウマ」を解決してあげなきゃならないんだけど、2つも重要な伏線を回収しきれていなかった(私の見落としじゃなければ)。それが残念。

 

 

にほんブログ村 テレビブログ 韓国ドラマへ
にほんブログ村

 

ファン・ジョンウムを密かに恋するも報われない幼馴染を演じたチェ・テジュンが良かった。

義理の母を演じたシム・ヘジンさんは「宮(クン)」でイジワルな元皇太子妃役だったからてっきり嫌な奴なのかと思っていたら、血のつながらないナムグン・ミンを実の子と分け隔てなく育て上げた(ちなみにいつも不機嫌なんだけど)。実は一番心に残ったかも。

アマプラ終了

 

孤独のグルメのために無料期間が終わった後、1ヶ月だけ課金したアマプラですが、12日に終了となりました。

ちなみに終了のタイミングは、見ている最中のコンテンツが見終わるまで待ってくれるみたい…途中でストップさせちゃったら、たぶんそこで終わるんだと思う。

 

孤独のグルメを見終えてからまだ数日の猶予があり、その間に映画を結構たくさん見ました。

いつも韓国のドラマシリーズばかりを見ている私だけど、韓国以外の、しかも映画をこんなに見たのは久しぶり。なんだか新鮮でした。香港映画、フランス映画、インド映画、東欧、そしてアメリカ。あ、韓国の映画もそういえば少々。

 

残念ながらドはまりするようなメガヒットには出会えませんでしたが、フランスの「ローズメイカー」とインドの「アムー」が割と良かったなぁ。最初にあらすじは読むし、見ていて何となくエンディングは想像がつくんだけど、すぐ次のシーンの展開の想像がつかないんだよなー、見慣れない国の映画って。そこが新鮮でしたねぇ。

 

ローズメイカ

フランスのどこか(たぶん片田舎)で、父から受け継いだローズ農園を営む女主人エヴ。経営は火の車で、今年の受賞にかけてたけどダメだった。季節労働者を雇う資金もなし。そこで相棒が見つけてきた労働者たちは、何と「社会奉仕中」の、すなわち元受刑者たちだった…バラの知識ゼロ、しかし彼らの1人は、ある方面に卓越した才能があった。そう、お留守の倉庫に忍び込むこと。

そんな折、エヴは素晴らしい新作バラのアイディアを思いつく。必要な交配種の1つは手元にあるけれど、もう1つを所有しているのはライバルの巨大企業、ラマルゼル社。さてエヴは…

 

アムー

結婚して幸せに暮らすアムー。ところが幸せだったのは最初だけで、次第に夫の暴力がエスカレート。どんどん気力を奪われていくアムーだったが、ある出会いによって変化が。

 

これらの映画は内容もさることながら、景色だったり家の様子だったり服だったり食事だったり、総合的に心に残るシーンが散りばめられた映画でした。

 

 

【映画】ベイビー・ブローカー ★★★☆☆

 

IUとソン・ガンホがメインキャスト、カンヌ2冠ということでちょっと期待しすぎてしまったか、正直あまり感動はなく。

まぁそれは仕方ないとしても没頭度が低かった(例えば前回☆2つにした「ブリング・ミー・ホーム」は没頭度だけ言えば高かったですからね)のが残念。集中できなくて、あれ、誰が誰をどうしたんだっけ!?みたいな。

 

事前に導入部分のあらすじを読んでいなければついていけなかったかも。別段難しい話ではないのですが。

 

-----------------------------------

 

赤ちゃんポスト」に赤ちゃんを置き去りにした母親が、後日戻ってくるんです。そしたら、ポストに預けられた赤ちゃんの記録がない。IU演じる母親は、若いながらもそこそこ裏社会の修羅場をくぐってますから、ピーンとくるんですね。この赤ちゃんポスト、裏で転売してんじゃないか、と。

はい、その通り。表向きはクリーニング屋ソン・ガンホ、まぁ根は悪い人ではないので海外に売り飛ばしたりはしていませんけど、まともに待ってたらなかなか養子縁組の順番が回ってこない夫婦に赤ちゃんを斡旋してるんです。いわゆるベイビー・ブローカー。赤ちゃんポスト内部で手引きしているのは今回初見のカン・ドンウォンさん。それから、違法ブローカー摘発に燃える女刑事が物語に絡んできます。

IUに見抜かれ、成り行きから本当に養子縁組の夫婦を探す旅に出る3人。現行犯で逮捕したい刑事。違法行為をしている3人が一生懸命「良き親となる夫婦」を「厳しい目」で選ぶ一方、さっさと赤ちゃんを売ってほしいために罠をしかける刑事。不思議なことに、前者の方がよっぽど赤ちゃんの未来を真剣に考えているように見えてくる。

 

-----------------------------------

 

まぁ事前に期待しすぎたってことで☆3つですが、赤ちゃんを中心に、まるで本物の家族のように絆が深まっていく不思議な感覚は是枝監督っぽい良さがありました。心に残ったのは、赤ちゃんポストに赤ちゃんを置く母親はたいてい「必ず引き取りにくるから」というメモを残す。でも実際に戻ってくる母親は40人に1人。というくだり。そして、孤児院で育つ子どもは、自分は40人に1人だと思いながら親を待ってしまう。

 

 

にほんブログ村 テレビブログ 韓国ドラマへ
にほんブログ村

 

ソン・ガンホさんがラストにとる行動が、「パラサイト」に似ていたと思ったのは私だけではないはず。

 

 

 

 

【映画】ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 ★★☆☆☆

 

久々に胸クソ映画を引き当ててしまい、レビューを書くつもりはなかったんですが、1点、これは心に刻んでおきたいと思ったことがあったので書きます。

 

胸クソ映画ではあるのですがそこはさすがの韓国映画、そして主演はイ・ヨンエさんですから、よくできた映画であることは認めざるを得ません。ラストシーンから始まるカメラワークも上手いし、内容も、結局のところ観るのをやめることができず最後まで視聴しました。最後がどうなるのかめっちゃ気になるし、途中がダレることもなく。

ただ登場人物が揃いも揃ってロクでもないのと、エピソードがよくぞここまでの不幸を思い付くもんだなレベル。っていうか、現実にあったであろう何かを模してるんでしょう…余計に救いがない。

 

よく「人生山あり谷あり」とか言いますよね。それはある意味では正しいけど、それはいくつか連続した谷を、後から振り返ったら一続きの谷として1つにカウントした場合ですよね。

 

でも、息子が行方不明になったことや、詐欺レベルのいたずらや、交通事故、といった、種類の異なる「谷」を、まとめて1つにカウントしていいんですかね。次は「山」だと盲信し、必要な警戒を怠っていいんですかね。

 

平和な日本に慣れきってお花畑思考でいると、何か不運なできごとがあったら周囲が手を差し伸べてくれるような気がするかもしれないけど、世の中、「ひでー奴」ってのが存在して、不運な人からさらに搾取しようとするかもしれないよってことを覚えておこうと思ったのです。例えば宗教とか、壺とか…最近不運があった人に、根拠もなく「次は山だ」と信じさせることを専門としている人たちがいる。そういう人たちも死活問題ですから、騙す方だってそれこそ必死なんです。

何かあった時こそ気を引き締めて、連鎖を生まないようにしないといけない。

 

いちおうこの映画のラストには救済が用意されており、途中でやめないで良かったといのは述べておきます。

 

 

にほんブログ村 テレビブログ 韓国ドラマへ
にほんブログ村

 

余談ですが、この映画を見て初めて、自分の足の爪(小指)が副爪だということに気づきました。

 

 

つづき【孤独のグルメ】Season1~Season10 + スペシャル

暑苦しく「孤独のグルメ」語らせていただく、第二回。

 

アマゾン等のレビューを見てるとたいがいは松重さんのゴローを褒めたたえるコメントなんだけど、中には「演技が下手」とか書いている人がいて驚く。

 

私個人としては、松重さんによる孤独のグルメの真骨頂は、ほぼ無表情に黙々と食べる様子と、モノローグの内容の、脱力するほどのくだらなさが、ミスマッチすぎて妙なワールドを展開しているところが、今までにない新しさだと思う。いや、もちろんそういう演出のドラマは数多くあっただろう。ところが、ほぼそればかりの繰り返しで成り立っているドラマなんて今まであっただろうか(いや、ない)。演技は(もちろんされているのだろうが)、演技してないフツーのオッサンに見えるところが良いんじゃんか。

 

ノローグのくだらなさ、第一位は、香川から向かった松山での魚料理に「こんぴら舟ふねシュラ・シュシュシュ~」というやつ。あまりにくだらない。こんなモノローグが、コワモテに類する松重さんがほぼ表情なしで食べるシーンとともに展開されるわけである。全編がそんな感じ。

 

別のコメントを紹介。

  ストーリー部分はAVの導入みたいなものと思って見ている

こ、これにはさすがにひどいと思いつつ、妙に言い得ていて感心してしまった。

起承転結の、

「起」は駅に降り立って、ここに来るのは久しぶりだなぁとかいうシーン。

「承」がストーリー部分。この部分が「結」に全く生かされていない。「承」が何だろうが、あとやることは一緒、みたいな。(いやでもAVはひどいだろう)

ちなみに「転」が腹が減った、というシーン。そこは多少「承」を受けていることもあるが、伸びをしたら腹が減ったなんて回もあって、腹が減る理由はもはや何でもいいらしい。で、「結」でひたすら食べるわけである。

 

さて、私が孤独のグルメにハマったのは今年の4月で、それまでは一切見たことがなかった。4月から毎日1話ずつ視聴してきて3ヶ月。私自身ものすごく影響を受けたことがある。それは、「いただきます」と言って食べはじめて、食べている間は食に集中すること。スマホ見たりとかテレビ見ながらとかがなくなった。お腹と相談しながら「これならまだいける」とか言いながら食べ、最後に「ごちそうさまでした」で終わる。

これって実は究極のマインド・フルネスじゃないですかね…「いま・ここ」に集中。関係あるのかわからないけど、実は体重が少し減った(五郎さんありがとうございます)。

そうそう、以前は仕事しながら食べることも多かった。今はそれは、なるべくしない。ゴローは、仕事中は食事のことは忘れている。一段落ついたところで空腹を思い出す。やっぱり食事って、気がかりなことを一段落させてから楽しみたいですよね。

 

あともう1点、見習うべきは、五郎の「ラスト30cmの工夫」。

食材は、下手すると海外から何千マイルも旅して料理人の元に届きますよね。そこで料理人による調理が加えられ、テーブルに届く。

ゴローは、最初の1口はそのままを味わうけど、食べ進むにつれていろいろ工夫を始める。テーブル上にある調味料を使うのはもちろん、食材どうしを組合わせて勝手にサンドイッチしてみたりとか、勝手に丼にしてみたりとか。

 

…とまぁ思いつくままに語ってみましたが、Season11はあるのでしょーか。めちゃくちゃ楽しみにしてます。食べる量を減らして構わないから松重さんのゴローをずっと見ていたいです。

 

書いているうちに「五郎」と「ゴロー」の記述が入り乱れてしまったけど、私にとって原作は五郎、あとシーズン1から3ぐらいまでの、比較的真面目な時代は五郎。それ以降はどんどん3枚目のキャラが立ってきて、「ゴロー」って印象になってきたなぁ。

 

 

 

 

【孤独のグルメ】Season1~Season10 + スペシャル

スペシャル回含め、全てのエピソードを完走いたしましたので、思うところをアップしたいと思います。

 

まずこのシリーズ、ご存知の方も多いとは思いますが、ストーリー部分と食レポ部分の二部構成。それが約120話でしょうか、ただひたすらワンパターンに繰り返されます。ドラマと呼んでいいかわからないほど「ドラマ性」はありません。

 

視聴者はおそらく「食レポ」部分メインでご覧になっているのでは。「おっさんがただメシ食ってるだけ(松重さんご本人談)」の映像と、感想(モノローグ)を、特にアタマを使うことなく見られるのがいいです。なにしろオリジナルの放送時間は夜中ですからね。夜中に空腹が刺激される不都合はあるものの(※注1)、1日のクールダウンに良いと思います。私は何でも1.25倍速で観るのが常ですが、孤独のグルメだけは標準で見ています。松重さんのゆったりしたモノローグワールドで繰り広げられる超・どうしょもないギャグが、日常のあれこれを「どーでもいいや」みたいな気分に変えてくれるからです。

※注1:私は録画や配信で、夕飯の直後に観るようにしていました(←めちゃくちゃ重要!)

 

…とまぁ、孤独のグルメにハマった導入はそんな感じでしたが、次第に私は「ストーリー」のパートにのめり込んでいくことになります。

 

ストーリーとはいえ、内容はワンパターンで120話見たところで新たな情報が追加されることはほぼありませんが、それでもたまに垣間見える「井之頭五郎」のキャラクターが…非常に興味深い。

 

個人で輸入雑貨業をしており、シーズン1で五郎を演じる松重豊さんはアラフィフ、シーズン10ではアラ還かと思います。原作の漫画はたぶん10歳ほど若いような感じがします。

結婚歴は(おそらく)なく、若い頃の恋愛エピソードがドラマでは1つ、漫画で2つ紹介されるのみです。

 

「結婚に向かない」発言は、私の記憶にある限り2回。例えば近くの席でカップルが心理テストをやってて、勝手に耳だけ参加した五郎が一番結婚向きの回答をチョイス、ケッ、だから占いなんてあてにならない、俺が結婚向きだなんて、みたいなコメント(モノローグ)が発せられ、あ、この人、結婚していないんだな、という五郎像パズルのピースが手に入るわけです。そういう、パズルピース集めがおもしろくてSeason10まで飽きずに見てしまった…そういう見方をしている私は変わり者かもしれませんけど。

 

五郎は、結婚したいのに結婚できないわけではありません。仕事は割と順調なようです。時計はタグホイヤークロノグラフ、パソコンはレッツノート(途中まで。提供が終わったのか、後半は変わった。GRSNというロゴ付…もしやゴローサンの頭文字?Pentahexaというロゴも…ここまできたら間違いない。5と6だ。)、

 

ゴローのパソコン

 

靴はリーガル、そして車はBMWです(Season10からミニクーパー、ナンバーは563)。

 

ミニ563

知識レベルもかなり高く、馬マニアの大学教授が「あなたにはわからないだろうけど、古代では馬に込められた意味は…」と言いかけたところでウッカリ深い教養で返答してしまい、やばい、顧客をやりこめちゃマズイと気づいてスタコラ退散するシーン、ハムレットのセリフを引用した顧客にウッカリ「それはマクベスでは」と口を滑らせるシーンからうかがえる。

町田市は昔神奈川県だったって知ってます?というトリビアにも「ええ」と答即している。

将棋は上手いのか下手なのか…私にはよくわからない。誰か解説ブログ書いてほしい。

 

語学レベルは上の下といったあたりと思われ、パンフレットを自力で英訳することができる。中国語や韓国語はさっぱりだが、若い頃の海外経験から、そういった国でも何とかコミュニケーションを取ることができる。

 

見た目がオッサンだから綺麗系の女性は五郎のことを簡単に落とせると勘違いしてしまうかもしれません。思わせぶりなアプローチをする女性も実際いました(中山エミリ、手塚里美、りょう、鶴田真由)。五郎は礼儀正しいので顔には(ちょっとしか)出しませんけど、そういうアプローチを察するやいなや、五郎はさっさと逃げ出します。つまり結婚願望が本当にないんです。

 

結婚願望があるのに何らかの事情で結婚できていない男性なら、カップルに嫉妬したりすると思います。五郎は、-さすがにイチャついてるカップルを見ると軽くイジワルなモノローグがあったりしますが(食事が来るまでにわさびを用意する、そのぐらいちょっと考えればわかりそうな手際だろうが)-良い夫婦を見ると純粋に「あぁ、いいご夫婦だったなぁ」みたいなことを言います(両国の床屋夫妻など)。そこに妬みの感情はありません。

 

お見合い話も私の記憶が正しければ2回。仕事相手に無理やり写真を見せられるパターンで、そうなると五郎はその仕事自体を断りたくなってしまいます。

 

そんな五郎ですが、「家庭料理」と書かれた暖簾や看板に引き寄せられる一面がある。普通の家であれこれ手料理をビュッフェ形式で出すお店の奥さまにはさすがにグラっときた(石野陽子)。外食に家庭料理を求めるぐらいなら結婚すりゃいいのに。だって、五郎がいわゆる家庭料理、すなわち大盛りごはんやコロッケやみそ汁やかぼちゃの煮物、に支払う食費は結構な額なんです。なにせ大食いで2~3人前を平らげますから。

 

まぁ所詮は架空のキャラクターですから、ここでうんぬん言ってもウルトラマンケンシロウはどっちが強いか、みたいな意味のない考察でしかありませんけど、私には五郎の不思議な結婚観がとても興味深かった…再度言いますけど、このドラマをこの観点から見ている人はあまりいないと思います。

 

ちなみに五郎がLGBTQである可能性を一応検討しますが、ほぼゼロかと思います。田中要次さん演じる昔の知り合いが「女子」になったと知ったシーンでの五郎はマジでびっくり仰天して、少し落ち着いてから「あいつはあいつの道を行けばいい」みたいなことを言ってました。骨折中のともさかりえをついつい手伝ってしまい、「俺も結局美人に弱いんだな」と言う回や、昔の憧れの女子への回想シーンもありました(今では校長先生になっていた…松下由樹が演じている)。

 

架空のキャラクターを考察しても意味がない…とはいえ、五郎の結婚観の考察には1つの意味があると私は思っています。

 

端的に言えば、

 こういう男には気を付けろ

です。

 

注目すべきはSeason1に出てくる小雪(さゆき)さんのエピソードです。彼女とはパリで知り合い、お付き合いしていました。小雪は五郎との結婚を望んで問いただしをするものの、五郎にはさっぱり結婚願望がないとわかり(そんな話より甘い物でも食いに行こう…ハイ、アウト~!)お別れとなりました。

もし彼女が五郎に今後のことをしっかりと問いただしせず、ずるずると付き合い続けていたら、彼女は何年も、下手すると十年以上もの年月を無駄にしてしまったことでしょう。五郎は穏やかな性格で、家庭的なものを求めている。遊び人風な外見や行動は全くなく、(食道楽ではあるけれど)アルコールやギャンブルは一切やらない。この人なら結婚してくれそうと勘違いしちゃいけない。理由はわからないけど、五郎に結婚願望は一切ないのですから。

 

Season1と言えばですけど、Season10まで続いている孤独のグルメ、Season1を改めて見直すと面白い発見があります。

10年間繰り返されるワンパターンの全てが、Season1でしっかり確立されているのです。低予算でのスタート当初、Season1が10年の礎だなんて、視聴者も、スタッフさえも、誰も思ってもいなかったでしょうに。

もちろん徐々に固まっていった五郎のキャラクターは、時間が進むにつれ、最初よりも三枚目に振れていき、より気軽で面白くなっています。しかしベースとなるものは全てSeason1に入っているのです。

空腹時に「ポン・ポン・ポン」と音がなりカメラが引いていく撮影法。口を半開きにするのがお約束なので、コロナ禍のシーズン9・10では律儀にマスクを下にずらしてまで口元を見せてくれるのが可笑しい。

お人よし五郎。おばあさんが転がしたみかんを拾ってあげる。後に、スーツケースを運んであげて見知らぬバス停で降りてしまったり、果てはどえらい距離を車で走ることになるロードムービーのようなスペシャル回につながる。

神社を素通りできない五郎。お願いごとは、自営業らしく商売繁盛…かと思いきや、どうやら「美味しいものに出会えますように」みたいなしょうもない願掛けをしている模様。

そして、苦手なタイプの女性に関しては第一話の冒頭に入っているんですよ!顔には出さないまでもモノローグでは「まさに今が辛い」とちゃんと言ってる。

 

あと、これは今後パターン化されるかどうかわからないけど、20年とかの長い年月の昔の回想シーンの取り扱い。…ただ白黒にするだけ。

代役を立てることはおろか、松重さんの髪形を多少若作りにいじることすらしない。そのまんま。小雪さんとのシーンや、吉野(田中要次)とのシーンもそう。20年ぶりに会う先輩には、冒頭で「五郎、お前ちっとも変わらないなぁ」と言わせて、回想シーンはまんまの松重さんだった。「ちっとも変わらない」のセリフが活きてて笑えた。面白いのでぜひパターン化してほしいです。

 

長くなるので続きは次回。