このドラマはヒロイン・ソルがタイムスリップを6回するんですね。で、タイムスリップした先が毎回おもしろいから夢中でするすると見てしまうんだけど、実は結構難しいです。ちゃんと理解しようとすると。
ソンジェは4回死亡してしまい、助けるためにソルが過去に戻ります。戻るには時計のボタンを押すのですが、どの時代に戻るかは選べません。だいたい高校3年生か、大学1年生あたりに戻ります。
未来に帰ってくるタイミングは全く選べず、だいたい過去に2ヶ月ほど滞在したら勝手に戻されます。戻ってくる場所は、立ち去った地点の2022年12月31日、夜中の12時に戻るようです。
お約束としては、
- 未来の出来事を過去の誰かに伝えようとすると時が止まってしまう。紙に書こうとしてもどんどん字が消える。
- 過去が変わったせいで未来も変わると、過去に居ても変化した未来が残像のように脳裏に浮かぶ。
- 未来に戻っていろいろ変わっていることに気づくと、その過程が記憶として定着。例)映画会社の社員になっており、普通に仕事ができる/運転できなかったはずの車を運転できる
19歳のソルは、33歳のソルに乗っ取られている間の記憶がありません。タイムスリップものの多くは、未来人と過去人が同時に存在するようなストーリーもありますけど、このドラマの場合「憑依」という表現が近いです。19歳のソルは33歳のソルに身体だけを貸しているわけですね。
過去と未来はそれぞれ5種類です(実際には未来④はごくわずかの残像として紹介されるのみ)。過去②と過去③には少々ながらも19歳のソルも登場するので、このヒロインは11ものバージョンでソルを演じ分けているわけですね。ヘアスタイルのバリエーションがかなり多いのはそのためでしょう。
さて、ソンジェですが、未来①、②、③、そして過去④で死亡します。
理由は、未来①と②が自殺…うつ病と不眠症に日頃から悩んでおり、芸能人ならではの誹謗中傷に苦しんで。
未来③と過去④では、事件に巻き込まれたソルを助けようとして犯人・ヨンスに刺されてしまいます。
これらを全く理解しなくてもドラマとして十分楽しめてしまうのがすごいところなのですが、ソンジェの立場から死亡に至る過程を理解することは非常に重要です。なぜならば、韓国ドラマあるあるの、「好きだけどわざと相手に冷たくして別れようとする」ソルの事情が腹落ちしないからです。
つまり、ソンジェの死は、③と④は確実に、「ソルという女性に関わってしまったから」です。①と②はさすがにソルのせいとは言い難いですが、細かく「過去①から④」を見ていくと、いかにソンジェがソルのことを好きだったか、事件から守ってあげられなかったことを悔やんだか、が分かります。
ソンジェが死なないようにすることがソルにとって最大のテーマですが、ソル自身も事件に巻き込まれて未来①と②では車椅子生活になってしまうので、自分が事件に遭わないようにすることも大事。ところがなかなか今後起こるであろう事件を起こらないようにするって難しいんですよね。
ソンジェが自殺しないようにする、というテーマでは、ソルは「人生に希望を」みたいな本を19歳のソンジェにプレゼントしてみたり(15年後への効果は全くなさそうですね)、あとは2023年の1月1日に一緒に開けようねとタイムカプセルを埋めたりします(これには別の効果はあったようだ)。
しかし、③と④、ソルのせいで事件に巻き込まれる、ということを防ぐためには、冷たく引き離す以外にはないとソルは考えます。
ソル自身が事件に巻き込まれないようにするため、には、警察に「〇月〇日に事件が起こる気がする」とか掛け合ってみたりしますが、当然相手にもされません。
しかし、結論から言えば、テソンだけが(本人にその気は全くなかったでしょうが)2023年のソンジェを守って、というソルのお願いをちゃんと実行してくれたんだと気づいた時は、軽く呆然としました。
テソンと言えばですが、中身33歳、外見19歳のソルが、「学校ぐらいはちゃんと出ないと。行きたくても行けない人だっているのよ」と説教した次の未来では学校出てるし、親との確執があった過去もソルの一言でか知らんけど、職場にパンツ届けたり、その次の未来では親と同じ職業についてさえいるし、ってところが何とも言えずほんのりしますね。
さて、このドラマの本当に面白い部分は、未来⑤だと私は思います。これだけでも1本のドラマが作れるほどです。実際、「愛するウンドン」というドラマでは、主人公が口述筆記をしている自叙伝で語られる女性が、自分のことのような気がしてならない、みたいなストーリーです。手違いから自分の手元にやってきた映画の企画書を読むソンジェは、なぜだか涙が止まらなくなるのです。
もうひとつ、傑出して素晴らしいのは、ソンジェが所属するEclipseというKPOPバンドが、そりゃーもー本物のバンドであってもおかしくないクオリティなんですよ。ソンジェ演じるピョン・ウソクさんはモデル出身の俳優さんですけど、なんでしょう、この歌の上手さは!ステージの臨場感は!
「You & I」が特に良くって、プロに歌わせてるのかと思ってました。
逆に、インヒョク役のイ・スンヒョプさんは本物の歌手です。しかし「ちょっとウザイ親友役」は、俳優として遜色なしです。
つらつらと書きましたが、とりあえずそんなところで。