1度目見た後は、「よい映画には違いないが2度見ることは、まずもってないであろう」と思っていた。しかしふと2度目を見たくなり視聴したところ、1度目よりぜんっぜん面白かったー。
前半は2倍おもしろく、後半のグロさは耐性ができて半分に。
攻略ブログも読んでいたし、細かいところによく気がついて、深く味わいました。
この家族、むちゃくちゃ価値観が揃ってるよなぁ。虫がいる家でビザの箱を折っていて、消毒車が通っても窓を閉めない。学歴詐称、日記の盗み読み、どれをとっても家族の価値観が一致。こりゃあ集団詐欺を働くのにうってつけですよね。「地面師」観たけど仲間割れが一番怖いもん。
家族が喧嘩をしない。母親が父親にすごい失礼なこと言ってつかみ合いのケンカになる…かと思いきや、笑って終わり。そこぐらいかなー。金持ちの家では「ジャージャーラーメン、お父さんには食べるか聞いたのに私には聞いてくれずにお母さんが食べた」みたいな愚にもつかない言い争いのシーンがあったけど、家族ってのは、ああいう方が普通だよね。
二人の子どもはある意味、とてもいい子。劣悪な環境なのに、生活への文句がない。「おつかれさま」を見た直後だから余計に感じるのだけど、「おつかれさま」では貧しいことへの不満をよく親にぶつけていた。「半地下」の子どもたちはそれが一切ない。むちゃくちゃ頭もいいしね。特にパク・ソダムが「ジェシカ・一人っ子・イリノイ・シカゴ」と歌うシーンにしびれた。詐欺の本番前の最終確認を歌にするってクール。
この歌、「独島は韓国の領土」という内容をうたい上げたものなんだそうだ。それじゃ、私が真似するわけにゃ、ちといかんね。監督は別に反日というわけではなく、この歌がいろんな替え歌の元ネタとして全国民に馴染みがあるから使ったという見方が一般的のようです。確かにすんごいクセの強いリズムなんだよねー。
ジェシカだのケビンだの、子どもにアメリカのニックネームをつけるとすごく「留学帰り」っぽくなる。単純な手口にコロっと騙される金持ちの母の、この「コロっと騙され」感が笑えたなぁ。1度目は物語がどこに向かうのかがわからなかったから、これらのシーンでは笑えなかった。
さて、最終的になぜジェシカだけが死んじゃったのか。もし自分が脚本家だったらという視点で考えてみた。
あれだけのことをしでかしておいて、さすがに一家全員生き残ってハッピーエンドは、ないよね。となると消去法で、お父さんと息子は最後にモールス信号でやりとりするからセットで生かす。お父さんは地下に潜るし、最後「お母さんと息子」が生き残るのが絵としてしっくりくるよね。鉄球を剣に持ちかえて「地下男」と対峙する母は強いし。
「地下男」は愛する妻を失い、4人家族全員を仕留めるつもりだったであろう(この夫婦もめっちゃ仲良しだ)。ジェシカはパーティでケーキを持ってドレス姿で登場したから、恰好の的になっちゃったよね。
あのドレス、支援物資の山から引っ張り出してきた服であろう。安っぽい花柄のワンピースだけど、あの家で着ると一周回って素敵なドレスに見えるところがまた皮肉。ジェシカのドレス=書類の偽造が得意なギジュンの安物ワンピース。
金持ちの家の坊ちゃんは全てを気づいているとか、トラウマが上塗りされてすごいトラウマになったであろうとか、そこらへんの洞察はありきたりだからパスするけど、娘もすごいトラウマになっただろうなぁと思う。憧れの先生をおぶって助けたのが娘だけど、本当の姿を知った時、どう思っただろうか。
ギウが地下に戻らないところでやめときゃよかったのにね。まぁドラマとしてはいまひとつだろうけど。