チョルインワンフ、と読むそうです。
朝鮮王朝25代目の哲宗(チョルジョン)に嫁いだ王妃が主人公。
哲宗は本来ならば王になれるほどの血筋ではなく、実際農夫だったようですが、運命のいたずらにより王に。実権はなく操り人形だったというのが現代における評価のようです。
王妃は実家の繁栄のために嫁いだだけで、特別王を盛り立てようとするようなことはせず、むしろ政治に関わらないよう生きた人物だった模様。
このような史実を、めいっぱいの想像の翼を広げてファンタジーに仕上げる、そう、それが韓国ドラマってもんですよ。
現代を生きるシェフ、ボンファン(男性です!)がひょんなことからタイムスリップし、なんと目覚めたら婚礼直前の哲仁王后(結婚前はキム・ソヨン)になっていた!
…というめちゃくちゃな設定ですが、これが面白いんです。
演技の上手さでは言うことなしのシン・ヘソンが、ボンファンの魂が乗り移る前のソヨン、乗り移った男勝りな王妃、徐々にソヨンの記憶も混じっていくボンファン+ソヨンのハイブリッド、を演じわけてます。ヘソンが演じたのでなければそれほど面白いドラマにはならなかったでしょうねー。
哲宗を演じたのは「愛の不時着」で北朝鮮に逃げる詐欺師を演じたキム・ジョンヒョン。評判良かったみたいですが私は彼のことは最後まであまり好きになれず。しかもこのドラマでの二番手君は今をときめくナ・イヌですから、このキャスト、二番手君に王が食われてしまうような気がして観てました。
ところがですよ、このキム・ジョンヒョンがすごく良かった。
どうあがいてもナ・イヌの方が顔が良くて背が高くてすらりとしているんですけど、ボーっとしたお顔立ちの王、実は元農夫の裏の顔があって、そんな彼が王になってしまって苦悩する、深みのあるキャラクター。
元々ソヨンは王を慕う楚々とした女性で、正直男性には重いタイプでした。王もあからさまに側室となる女性の方をひいきしてた。しかしボンファンが乗り移ってからは王の気を引こうとするのは止め、(というか元来プレイボーイなので王と夜を共にするなんてまっぴらなので)「どーぞどーぞ今夜は側室のところへ行ってください」みたいなノリとなり、そうなるとあまのじゃくなもので、王は王妃が気になって仕方がなくなるんですよね。
女性の逆転劇が面白さの1つ。別の鑑賞ポイントは、衣装。
時代劇の王妃の衣装って原色ばっかりのイメージでしたが、パステル調だったり、チマやリボンや飾りの色合わせが(洋服のセンスとはと違って)対比する色を使っていたり、とにかく王妃が着替える度にため息が出るほど綺麗な衣装のオンパレードでした。
とはいえ星が5つなのは、その長さ。いや~、長かったですねー。歴史モノが苦手な私は正直半分以下でも十分だったのではという気がしてしまいます。要は魂が昔の王妃にタイムスリップして戻ってくるまでの物語ですからね。
共演者陣でお気に入りは王妃のお付き、ホン・ヨンを演じたチェ・ソウンさん。「気象庁の人々」にも出ていて、特別美人という感じでもないんだけど表情がいいんですよね、出てくると目が行ってしまう。
しかしまぁ、史実をここまでファンタジーにしてしまうのはすごいですよね。