韓国ノワールが苦手な私ですが、この映画は文句なく星5つ。
ポン・ジュノ監督、といえば「パラサイト 半地下の家族(2019年」。
この作品は2009年の作品です。たまたま目にした1枚のスチール写真に惹きつけられ、どうしても見たくなりました。韓国の母と呼ばれるキム・ヘジャさんの一人舞台のような作品ではありますが、ウォンビンの「目」の演技(演技というか、もともと綺麗な目をしてますよね)が一つのキーでもあり、脇を固めるベテラン勢もまさに適材適所と言った感じで、とにかくすごい作品です。
どこをとってもネタバレになりますので導入だけ、映画解説サイトからお借りします。
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貧しいながらも幸せに暮らしていた親子であったが、ある日1人息子が警察に拘束されてしまう。殺人事件の容疑者にされてしまった息子の無実を信じ、孤立無援の母は悲しむ間もなく、たった1人で真相に迫ろうとするのだが……。
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解説によってはウォンビン演じるトジュンを知的障害の息子、と紹介しているサイトがあったり、ただ単に純朴な青年、としていたり。
映画の中では確か、母(ちなみに名前は不明…劇中で特に呼ばれることはない)が刑務官か誰かに「息子は病気なのに」的なことを言うシーンがあったか。まぁ明らかに彼の言動は知的障害がありそうな感じで、外で放尿しつつ、母に漢方薬を飲ませてもらうシーンがあったり、寝るのは母の隣、しかも胸をまさぐっているように見えるシーンもあり。彼の記憶は飛び飛びで、確かに何らかの障害はありそうだ。
しかし同時に、実はまともなのにバカのふりをしているんじゃないか、そんな風にも見えたり見えなかったり。類まれなイケメンがアンバランスでもあり、やんちゃ坊主とマッチしているようでもあり、ウォンビンから目が離せない。
パラサイトよりずっとシンプルでわかりやすい映画である。パラサイトはいろんな解説動画や本が出てるけど、この映画は基本的に見たままである。不要なものがそぎ落とされ、「この〇〇の意味は…」みたいに悩む部分はほぼない。だからこそむしろ感じる凄みがある。部屋に無造作に散らかった小道具や、枯れ草を切るときの乾いた音すら計算し尽くされているかのような。
他の作品も気になって調べたら、「海にかかる霧」がポン・ジュノ脚本作とのことだ。3つ見たことになるが、とにかく「母なる証明」が韓国ノワール初心者にはオススメだと思う。
とにかくですよ、過保護はダメよ。